ひなちのおうち

感想の置き場所

まほやく【哀愁とひまわりのエチュード】

それぞれの優しさを感じるお話だった…

ネロの優しさが全面に出てた。労わりのかたまりすぎない?どれだけ気を遣うの…どれだけ周りを見てるの…。

ワインを飲んで寝ちまえよと言えてしまうの…無理せず休んでていいと言えてしまうの…寝坊してもいいって言えてしまうの…めっちゃ気遣うやん…最初から最後までずっと気遣うやん…。

賢者様にファウストの昼食を運んでもらおうとするけれど、結局戻ってきて自分でいくのとか、わざわざなんでそうしたのか理由を言うところとか、不器用で真面目だなって思う。別に正直に言う必要なんてないのに。「うまく話せないやつと、話し合うのを」だなんてさ…。

 

優しくないから教師に向いてないってさぁ…きみたちは優しいよ…でもきっと優しくないと思ってしまうんだ…過去に仲間を裏切った(見捨てた)ネロと自分のせいで犠牲者を出したファウスト。それぞれが自分の行動に後悔して嫌気がさしている。

誰がなにを言ったところで、その気持ちを溶かすことは容易くない。折り合いをつけて、うまく生きていくしかない。その後悔と嫌悪感と付き合っていくしかない。ただそれを一瞬だけでも忘れることができるような場所は、きっといつかできる。

 

 

賢者様の物腰の柔らかさだとか、丁寧な言葉づかいだとか、たくさんの視野で見ることができる判断力だとか、節々から優しさを感じるな…。

役目を与えることが重荷になると感じている。つらい思いをしてきた人に、役目を課すのは気が引けたと思っている。それでも役目があるからこそ立ち上がれる人もいるかもと、そう思える賢者様ものの見方が素敵よね。

ファウストとネロの笑い方を見て好きだと思う賢者様が私は猛烈に好きだ。困ったように探るように笑う彼らのことが私も好きだ。笑い方ひとつで”少しずつ足を向けて、手探りで、相手の中に自分の居場所をたしかめるような笑顔”って感じる賢者様どんだけ語彙力高いねん。すばらしすぎか?

 

 

カインの料理:素揚げ(貝はトマトスープ)

賢者様「揚げ物できるなんてすごい」

笑い飛ばさずそれ言える賢者様よ…私の浅はかさが恥ずかしくなるわ(大爆笑した)。

 

一緒にいられない条件

十回を超えると気が気じゃなくなる。

二十回以上でそんなに死にたいなら殺してやるって思う。

三十回目で一緒にいられないと気づく。

 

二人でいたら無敵だと感じていた。共にいるだけで、ご飯を分けるだけで喜びを感じられた。それがそう思えなくなる。だって寝ずの番は危険があるからするもの。常に守りたい人が危険にさらされている。いつまで守っていられる?

信じることに疲弊してしまうんだ…だってそれは一方的なんだもの…何度も何度も繰り返される物事に神経擦り減らして耐えられるほど強くはないよ誰しも…あーなにしてんだろって馬鹿みたいだなってなにを言ったところで全部無駄なのにって…。

逃げることは悪いことなのかな。結果裏切るようなことになってしまったけれど、一概に責め立てれることではないよね。危険に向かっていった者の自業自得とも言えてしまえるしね…わかんないね…難しいね…それでもきっと罪悪感が後を引くのだろうけれど。

 

ネロの周りには命を張って飛び込む質の人ばかり集まるのね…それって喜ばしいことかしら…また疲れちゃわない…?でもきみの周りにはそういう人が必要だと思う。きっと同じような人ばかりになってしまったら、誰のことも信用できなくなるもの。そっちの方がよっぽど辛くない…?あ、そうでもない…?そう…。

 

 

 

夜に宿(?)で会話してるのとてもよかった。

 

土地が変わればそこに合わせて形を変える。俺たちみたいだよな。

は?好き。

 

 

忌み嫌われてることにショックを受けて、それでもそんな大きな声の中には信じてくれている人もいる。人それぞれの思いがある。

優しくしてもらえて嬉しいねって。ショックを受けたままじゃなく、その優しさを受け取ることのできるルチル。とても大人だなと…大人よりも大人だと…思いました…。

 

 

足手まといと言われてムッとするの男の子よな~。

嫌いになりたかったけど嫌いになれなかった。憧れてしまうって素直に言えちゃうのすごいよな…そんなこと面と向かって言えない…気まずくなるのが嫌だもの…でもきっとそうじゃないんだ。素直に正直に相手と向き合いたいと、これから上手く付き合っていきたいと、そう思うのなら、その気持ちは伝わる。それが人と心を通わすということなんだよな。変に委縮して、顔色窺って、上辺だけで本音を話さない。それは嘘の形だけの名前だけの関係ではないだろうか。

子供たちのほうが上手だよなそういうところ。

 

 

シノかっこいいよな。

「あいつのいる場所にオレはいる」

たとえ何回と死にかけてもそう言えるのだろうな。そう信じ続けてほしい。絆を確かなものにしてほしい。その姿を見たいし、多くの人に見せてほしい。忠誠心を信じていいのだと教えてほしい。

「一緒にいれない奴らだとしても、一緒にやっていこう」

それを現実にしてほしい。

 

ボクにだって親がいないって言われると思ってなくて不意打ちに刺された…通り魔って感じ…。

「ヒースが気まずくなる」に対して「俺は恵まれてるから」って返すの大正解すぎた。だって両親のいない人を前にして、どう答えていいかわからない…でもどんな境遇であれ親のいない人からしたら羨ましいことかなと思うし、恵まれてるって思ってしまうし…それぞれだとは思うけれど、ちゃんと自分は恵まれていると自覚してそれを言えるの尊敬しちゃうな…嬉しそうに笑うシノもいいよね…。

 

すれ違い

ひとりになりたかったファウストと、ひとりにさせたくなかったレノックス…寂しいすれ違い…勝手に姿を消したのは酷く悲しんだから…それを癒したかったけれど、それはきっと無理だった。結果的に孤独が彼を癒してくれたのだから…。

 

幸せになってほしいと伝えるけれど、レノックスの幸せはファウストの傍にいることなんだよな。誰よりもレノックスがファウストの幸せを願っているしな…。

一緒にいることで辛い思いをするかもしれない。それでも一緒にいるだけで幸せを感じる。でもそれはレノックスだけであって、ファウストは違う。過去に関係するものから断ち切りたい。過去はなかったことにできない、どうやったって消えない。それでも忘れ去りたいのだ。そんなことできるほど器用じゃないのにね…。

それにもうこれ以上自分に関わることで不幸になる人を見たくない。自分が誰かを裏切る可能性があることが恐ろしい。恐れているんだ。誰かといることで犠牲を出すことを。だから孤独に癒された。

 

同じことしか言ってなくない?語彙力ください。

 

 

ビアンカの話を聞いているファウストフィガロの描写よな…フィガロ全然興味なさそう…故人に対して一切の関心なさそうよな…。

 

呪詛に呑み込まれる。魔法は心で使うもの。自分で制御しきれなくなるほどに心が保てなければ、それに耐えられなくなる。自分が自分でいられなくなる。そういうものを魔法使いは常に扱っているのだ。

「自分を失った方が楽な時もある。絶望の中でも、自分を律せることが、幸福とは限らない」

レノックスはそれを少なくとも周りの人にとっては幸福なことだと一蹴できてしまう。間違いないよな。近い人物が自分を失ってしまう様なんて見たくないもの。どれだけしんどかろうが辛かろうが、あなたがあなたでいられるのであれば、それ以外に幸福なことなんてないもんな。それは周りのエゴだけれど。

ファウストがどれだけ心が清らかなのかがわかる。自分を壊すために呪い屋だなんて続けているのかもしれないけれど、ファウストは頼まれたことしかしてないものね。自分を失えるほど人を恨むことなんてできやしない。フィガロに唾も吐けないもの。自分を裏切ったアレクのことも恨めないもの。

 

ファウスト全てを自分のせいにしないで…殺される末路に対して、それを目撃した者に対して、気遣わないで…傷つかないで…。

 

フィガロの初恋はファウスト…?

扉を消すな。

きっと大丈夫だと、勝利が約束されていると、そう思ったから自分は用済みだと、それで立ち去ったのあまりにも幼くてどうしようもなくて笑ってしまったわ。あなたが孤独なのはそういうとこだぞ!結局うまくいかなくて、ファウストの希望は打ち砕かれて…そうなるとわかってたら離れなかった?何をいまさら。なにもかも後の祭りだよな。信じろというほうが無茶だ。そういうとこだぞ!(2回目)

 

「不幸な僕には、おまえが必要なのか?」

それに対して答えられないフィガロ…いやそもそもきみたち相性悪くないか?もう絶対相容れないじゃん。よく1年(?)も一緒に住んでたな???

頼ってほしいだけの男にしか見えないんよな…微塵も伝わってない…期待は裏切らないことを約束してもいいよってさぁ…むりだよな…そもそももう期待なんてないじゃん…知ってる?失った信用はね、取り戻せないんだよ…。

昔のままなら手を取り合えた。そう信じて続けていれたならどれほどよかったか…僕とあなた生きる場所はもう違う。一緒に生きるのは僕でもないしあなたでもない。違えた道はもう元には戻らない、交わらない。きっと最初から出会うことが通過点だっただけ。

フィガロはまた一緒にいられると信じていたのかもしれないけどな…でもファウストの中からアレクは消えていない。じゃあ俺はやっぱり要らないじゃんって、居場所ないじゃんって、思っちゃっても仕方ないよね…諦めるの早すぎるよきみ…。

 

願いは叶わないからふざけたふりをしている。それでどうのこうの言うんだよな。伝わらんて…真面目に答えていても本気に聞こえない。そうしてるのは自分だぞ。傷つきたくないから偽ってるのに、結局そのせいで傷ついてるのは自分のせいだぞ。

 

やっと見つけた光を、生きる意味を、自らの手で消し去ってしまう。長く生きてきたけど、多くの人と出会ったけれど、ほとんど人と心を通わせてこなかった。いつも上辺だけで居心地のいい言葉や空間だけで満足して安心して、残ってるものなんてひとつもなかった。だから唯一のファウストのことも自分の中で諦めてしまった。彼にはアレクがいる。たったそれだけのこと。されどそれが重要だった。

フィガロはたったひとつの確かな愛が欲しいのだ。一人が多数に向ける愛のうちのひとつではなく、たった一人が自分だけに向ける愛を。そうじゃないと信じることができない。自分だけが愛を与えても返ってくるものは平等なもの。それじゃ虚しいって、寂しいって、また一人なんだって、必要とされてないんだって思ってしまう。

 

ところで”清純派”は男性に使っていい言葉なんだな…フィガロの目には美少女にでも見えてる説あるけどな…。

 

Q.さてここで問題です!フィガロを一言で表すとな~んだ!

チキチキチキチキ…「はい!」「どうぞ!」

A.紆余曲折

ピンポンピンポン!!だいせいか~い!!!

 

自分でわかってんじゃん!えらいね!

未練か~~~~~!!仕方ないな~~~~~!!それはどうにもできねぇな~~~~!!四百年も断ち切れてない未練なんてどうすることもできやんわ…そう思うとレノックスもよな…ファウストたくさんの人に依存されてるやん……。

そんなぐちゃぐちゃな線を真っ直ぐにする可能性があった存在がファウストっていうのがなぁ…いやめんどくさ!きみめんどくさいな!!クソデカ感情もちすぎ!!もう笑うことしかできねぇ!!

 

こうやって思考を巡らせないと処理しきれん。茶化しているようで大変申し訳ないが、そうすることでどうにか理性たもってんねん。ごめんな、フィガロ。きみのこと好きだよ。

 

ファウストは真っ直ぐすぎる。そんな人にフィガロのぐちゃぐちゃに塗りつぶされた想いは伝わるはずがないんだ…。そんな重い想いをなにひとつ理解できないファウストは、たしかにまごうことなく”清純派”かもね。

 

安らかに眠りたいのは彼女の方だ

誰がひまわり畑に絞首刑の縄が浮かぶ背景を予想してたかねぇ…いやもうびっくりでしょ。そのひとつの絵だけで心臓絞まるでしょ…。

 

賢者様が呪いに呑み込まれる可能性高いのそういうことかって感じ。情をかけてはいけない。おいでおいで、と感じるのも感受性が高いから?どうしてどうして、と訴えるように見えるのは彼女のことを考えすぎてしまったから?

そして浄化されゆく魔女に対して、知らずに涙を流すの…笑い声が悲しいと感じてしまうの…情をかけてはいけないと言われても、賢者様にはできないんだろうな…どうやったって無意識に入りこんじゃうんだろうな…。

 

 

ファウストがひまわりを、ビアンカを抱きしめたと同時に流れる『ひまわりのエチュード』のBGM。演出神か???あまりにも良すぎてずるすぎる。こんなん涙待ったなしやん。ぼろ泣きしたわ。

志を持って、革命を信じて、様々な人間や魔法使いを導いた、幼き英雄ファウスト。その純粋な正義感がたくさんの命を奪い、路頭に迷わせた。自分なんかを信じたせいで人生が変わった者への罪悪感。自分の愚かさに対しての自己嫌悪。守れなかったことを悔いた。信じてついてきてくれたことを感謝した。

巻き込んでしまった、助けてあげられなかった、こんなところでひとりぼっちにさせてしまった、もういいんだよと、優しく抱きしめるファウスト…美しすぎた…。

 

真面目で優しくて家族思いなひまわり畑で笑う姿が似合う彼女が、裏切られて苦しみ、その末に人を憎み、恨み、心を喰われて、吊るされてしまった。

そんな悲劇があったのだ。

とても胸が痛んだ。

 

寂しい終わりだったとしても、彼女の佇んでいたひまわり畑は美しかった。その景色は眩しく輝いていた。

 

 

 

浄化の儀式に失敗したら怖いことが起きるかって尋ねる賢者様に、「その時は、僕が助けるよ」って微笑みながら言うファウスト愛するしかなくない?

月日がたった現在でストールを整えてくれるファウスト愛さないほうがおかしくない?

 

 

 

ビアンカの記憶を垣間見る。それはかつて希望に手を伸ばし、未来を信じ、人を愛していた光景。叶うことのなかった夢へのひと欠片。長い永劫から解き放たれたいま、あなたはあの頃のように笑えていますか?

 

 

 

 

 

 

今回のストーリーもとてもとても素晴らしかったです。たくさんの交錯した関係性や各々の優しさをひしひしと感じることができました。

切なくて、寂しくて、そして愛しくて…なぜたった10話で、たった1~2時間でこんなに感動できてしまえるの…重量感すさまじすぎる…。

 

いつもどおりとっちらかった感想になりましたが以上です!解散!!